北海道でなぜドラマの視聴率が高いのか道民が考えてみた。「やっぱり長い冬が要因じゃね?」
相変わらずテレビドラマの視聴率が何故か北海道が強いみたいです。
なぜか北海道ではドラマの視聴率が高く、直近の例だと「逃げ恥」の最終回が他地域では10%台だったにも関わらず、北海道の平均視聴率が25%という結果を出していました。
今期ドラマの初回視聴率も関東地区のキー局の視聴率よりも3%程度プラスであったとのことです。
この記事の中でも「北海道は寒いから、外に出ずテレビを見ているのでは?」との疑問に対して、HBCテレビ編集局でも冬のHUT(リアルタイムでテレビを見ている世帯の割合)が1月が最も高いことを認めているようです。
しかし、今季は夏なのにも関わらず数パーセント視聴率が高かったことについての理由については同編集局では下記のように語っていました。
「去年の秋からSNS上にドラマのタイトルを表記する際には必ず、『火曜ドラマ』『日曜劇場』『金曜ドラマ』といった枠タイトルを付記するようにしていた。これは一度に書き込める文字数が少ないツイッターでも基本的に同じ。そうすることで、北海道の視聴者の皆様に、今、ヒットしているドラマは「『逃げ恥』と同じ、火曜ドラマ枠なんだ」とか「『小さな巨人』の次の日曜劇場は、『ごめん、愛してる』が始まる」といった“枠の認識”を持って頂けるように心掛けた」
うーむ、、、勝因分析としては少し弱い気がしますね。
SNSの発信を工夫したことも確かに要因としてあるかもしれませんがテレビの視聴率がローカル放送局のTwitterアカウントの発信方法を工夫しただけでは説明がつかないのではと正直思いました。
そこで、HBC北海道放送のTwitterフォロワー数を確認してみました。
フォロワー数21,686(2017/7/23 11時現在)
北海道の総人口が538万人(244万世帯)として考えると単純に北海道在住の方が全員フォロワーだとしても全体の割合としては0.4%程度(フォロワー数÷総人口)しかなく、フォロアーからのリツイートなどの拡散を考慮しても視聴率を数パーセント上げる影響力は微々たるものだと思います。
(世帯数で計算しても0.8%でした)
そもそも、北海道の視聴率は何世帯でとられているのかというと札幌地区のみで約200世帯だそうです。(参照:http://www.videor.co.jp/tvrating/pdf/handbook.pdf)一見少なく見えますが、統計学的な絶対値に基づいての数値なので、世帯数を多くしたところで、数字は変わることはないと思われます。(欲を言うと北海道は広域であるので地区によっても県を越境するくらい文化が変わるため道央、道南、道東、道北の4ブロックでの数値も見てみたいですね)
さて、上記のHBCのツイッターアカウントでは影響力が微々たるものであると思われることがわかりましたので、ここから私の推測で考えていきたいと思います。
私が勝手に考えた要因は以下ではないかと考えました。
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夕方のローカルワイド番組の影響力がすごい。
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そもそも道内に娯楽が少ない。
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冬が長いので冬季間で同じ時間帯にドラマを観ることが習慣化されている。
1.夕方のローカルワイド番組の影響力がすごい。
北海道では夕方、4社による夕方ワイド番組が放送されています。
TBS | 北海道放送 | 今日ドキッ! | 月-金 15:44 - 19:00 |
日本テレビ | 札幌テレビ放送 | どさんこワイド179 | 月-金 15:48 - 19:00 |
テレビ朝日 | 北海道テレビ放送 | イチオシ! | 月-金 15:55 - 19:00 |
フジテレビ | 北海道文化放送 | みんなのテレビ | 月-金 15:50 - 19:00 |
どれも横一列に15時台からスタートしています。何故かというと北海道ではこの時間帯の視聴率争奪競争が過激で、各社とも意識した番組構成や時間帯設定を行っています。
元々、「どさんこワイド179」という番組が1991年から始まった長寿番組で地方局として初めて独自の夕方ワイド番組を放送し、大成功をおさめ、その後全国に地方独自の夕方ワイド番組が普及したきっかけの番組でした。現在でも北海道で最も影響力、ブランド力が強い番組の一つであると思われます。
北海道ではどさんこワイドに続く形で各社夕方ワイド番組を展開しています。どさんこワイド以外は数年から十年に一回程度、番組をリニュアルして対抗しています。どさんこワイドに次いで長寿番組は2003年スタートの「イチオシ!」です。
どの番組も3時間程度生放送で行っており、各番組の司会者は北海道では全国番組の司会者並みに名前が知られています。
特にどさんこワイドの平均視聴率は9~10%を年間で維持しており、数字でも道内での影響力のすごさがわかるかと思います。
特に特記すべき点は各社ともゴールデンタイムに視聴率をつなぐべく、番組宣伝を適度に入れている点です。
おすすめ番組の紹介や新ドラマが始まる場合はそのドラマについての番組の宣伝が人気コーナー(天気予報や料理紹介、参加型ゲームなど)の手前や直後に必ず入れている点です。
番組内で1回~3回程度は番組宣伝の時間が設けられているように思います。
また、司会者やモニター下側に番組宣伝のボードが置いてあり、どのコーナーをやっていても自然に写しこまれる工夫がされています。
※こんな感じです。画像はどさんこワイド人気コーナー「奥さんお絵かきですよ」(参照:https://www.youtube.com/watch?v=e5bWRkTmxVw)
夕方の主婦にこのような番組PRをすることで、ドラマを観るメインの年齢層にダイレクトに情報を提供できていることになります。個人的にはこれが一番の要因ではないかと踏んでいます。こうした地道な宣伝が実はドラマ人気の大きな要因なのではないかと思います。
2.そもそも道内に娯楽が少ない。
これは、、、お察しください。
札幌でも夜遊べるのはすすきの近辺の歓楽街程度です。郊外にショッピングモールが22時まで営業していますが、基本、札幌も地方都市の例にもれず夜は早いです。
さらに、北海道では札幌も含め、通勤する交通機関がマイカーであることが多く、用がない限りは寄り道せず、家に帰ってしまうのではないかと思います。
冬は特に道幅が狭く、ツルツルの悪路での運転になるため、車の運転自体が面倒になります。なので、ぶらりと寄り道せずに帰ってしまいたくなります。
マイナス10度近くの中、外も歩きたくありません。。。
3.冬が長いので冬季間で同じ時間帯にドラマを観ることが習慣化されている。
結局、結論として行きつく先は長い冬が要因かもしれません。
北海道の冬は早いと10月下旬からスタートし、3月末近くまで雪が残ります。雪が解けても4月、長いと5月までは気温が一桁であるのは当たり前です。
2番の項目で説明した通り、ドラマが放送されている21~23時の時間帯で冬に出歩くのは飲みに行くときか仕事帰りがほとんどで、冬は用がない場合はこの時間帯は寄り道せず、まっすぐ帰ってしまいます。
そうすると家での過ごし方の一つとしてテレビをつけて、同じ曜日の同じ時間帯になんとなくドラマを観るという習慣ができやすい状態になるかと思います。
そうして、半年近く同じ時間帯でドラマを観つづけることにより、習慣化され、夏でも気づいたらドラマを観ているという現象になるのではないでしょうか。
以上が道民による勝手な推論です。このことについてしっかりと要因説明できている記事をまだ見たことがありません。
地元のテレビ局ですら首をひねるこの現象について、しっかりと調査したら面白そうな結果が出てきそうな内容ですね。
それでは今回もこれでお開きです。
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