ぼさとの定規

元書店員ぼさとが社会のこと、書店のことなど、思ったことを書いていきたいと思います。

【文芸春秋社 図書館に文庫本の貸し出し中止要請か】なぜ出版業界は頭が固い人が多く保守的なのか。元書店員の独り言。

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正直、出版社がこんなこと言っちゃ終わりなような気がします。
図書館も出版社にとってみれば重要な顧客に違いないのになぜこんな要請出そうとしているのか理解ができません。

私は書店を離れてもう2年程度経っていますが書店をはじめとする出版業界は未だに本を売るという努力をせず、業界全体が衰退している状態でイノベーションを起こして出版流通を活性化させようと動くことができる人はこの業界内ではほとんどいないのが実情です。
既存のシステムに縛られて、出版社、取次店(本の問屋さん)、書店が一体になって動くことができていません。

また、20年以上も下り坂をひた走っているこの業界では細かいマイナーチェンジや一時のヒット商品によって増収を図ることを「最大限努力している」と考えている節がありますが、商売感覚もまた20年前と全く同じ考え方のままなので、不毛の努力と言わざるを得ない状態が続いており、あきらめムードすらあります。

今回の要請も「売れない原因は外にあり、自分達は悪くない」という20年間負け続けてひねくれた気持ちで外部に原因を求めている「甘え」にすぎないと私は思います。

図書館はこの出版不況の中、唯一定期的に大量購入をしてくれる出版業界からすれば失ってはいけない顧客の一部です。

それにも関わらず、ここ数年、出版業界や作家は図書館での新刊貸し出しが自分の売り上げを落とす原因になっていると発言したびたび問題になっています。

このことについて、このブログでも過去に下記記事でとりあげました。

bosatonozyougi.hatenablog.com

「図書館が無料の貸本屋になっている」と言われるこの問題は根拠となるデータが存在せず、いつも賛否両論になります。下記記事がわかりやすくその問題について触れているので紹介します。

withnews.jp

さて、私は元書店員として出版社は文句を言うくらいなら、販路を増やす工夫をしろよって思うわけですよ。
例えば、図書館を軸に考えると図書館は無料で商品を貸し出し、閲覧できるということはいわばショールームのようなものです。
また、図書館ということはそれだけ本好きの人が集まっているということにもなります。

例えばですが、借りた本がとてもいい本でコレクションしたくなったという人や借りたけど途中なんだかの理由で返却期限がきたけど続きを読みたいという人に新刊本の購入をアプローチすることだってできるはずです。

図書館のカウンターで新刊を取り寄せ、購入することができるシステムを作れば単純に書店以外で本を売る場所が増えることになります。

TSUTAYAを同居させ、新刊書店とCD、DVDレンタルができる武雄市図書館などの例も出てきていますが、それをもっと敷居を下げて、「図書館カウンターで本を買うことできる」という単純なシステムを作るということです。

つまり、私が言いたいのは既存の販路しか頭にないから、外的な要因があればそれを叩き潰したいという出版業界の保守的な考えがあまりにもバカらしいということです。

本来なら、同じ「本」を扱っているどおしである、図書館や古本屋などと手を組み、新刊をより多く売る工夫をしなければならないはずなのになぜ「叩く」ことをするのか不思議です。

さらに言ってしまえば、今後出版社が生き残るにはコンテンツの無料公開をいかに使いこなすかがカギになるかと思います。

それでは今回もこれでお開きです。

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