2020年代の本屋は知識、知恵を魅力的に伝える本屋が残る!【元書店員が考えてみた】
本屋不況は相変わらずです。
私が、書店業界を去ったのは2015年の春のことでした。
それから、約4年経って、変わったことといえば、、、
本に限らず、メディアの影響力が減退したことだと思います。
Twitterの登場で2010年くらいから、メディアの影響力は減退しているといわれていましたが、それが2012年くらいにスマートフォンの普及、さらに2014年くらいに大物youtuberの登場により、これまで一強だったテレビの影響力が年を追うごとに減退しているように感じますよね。
一方書店は2010年代にどのように変わっていったかというと、2010年から見ると、2018年の統計で約3000店舗が消えていきました。
2000年代は大型書店(ジュンク堂書店などなど)の大頭が象徴的でしたが2010年代は代官山蔦屋書店オープンを皮切りに書籍点数、坪数ではなく、顧客のライフスタイルをイメージしたジャンル分けや、書店が居心地が良い環境つくりを重視したお店が増えていきました。
また「選書する」ということに原点回帰をし、個人で独立した書店や選書が素晴らしい小型店にフォーカスが行くようにもなりました。
そしたら、2020年代はどうなるんだろう?っていうのが今回の話です。
ここからは元書店員の持論です。
おそらく、2020年代は知識、知恵を魅力的に伝える本屋が登場すると思います。
私が言う、知識とは「専門書」と呼ばれるジャンルです。
難しいところだと医学書、理工書、人文書など。
カジュアルなところだと、ビジネス書、美術書、学習参考書などがそれにあたります。
知恵の部分は実用書(料理、健康本など)、児童書をイメージしています。
つまり、雑誌、コミック、文芸書などこれまで書店屋台骨といわれていたジャンルを突破らった形です。
何故かというと、年々、雑誌、コミック、文芸書の売り上げが下がっているからです。
グラフでみるとこんな感じになっています。
(参照:出版物の分類別売上推移をグラフ化してみる(最新) - ガベージニュース)
こんな感じで、児童書以外は目を覆いたくなるほど、売上が大幅に下がっています。
私の推測ですが、コミック、文芸書など「物語」自体がメディアの求心力が下がってしまったのが要因です。
ネットの登場により、娯楽の一つとして「物語」が選ばれにくくなっているということだと思います。
また、雑誌が下がっている理由はテレビと同じく、主流メディアだった役割が終わってきているということだと思います。
ここで児童書も同じ「物語」なのでは?と声が出るかと思いますが、児童書は子供に対しての教育という側面もあるため、私は知恵の部分にあたるのではと考えています。
2010年代にようやっとインターネットも文化としての地位、影響力が上がってきました。
また、情報量、情報の信頼性も10年前と比べ物にならないほど上がってきています。
しかし、その中でも専門書をはじめ、本にしか載っていない情報というものが今でも結構存在しています。
その情報を欲しいという客層もまた一定数いるかと思います。
本来、本屋はそうした上質な情報を発信する場でもあります。だったら、その長所を生かさない手はないということです。
残念ながら、現状の書店はそのアドバンテージを生かし切れていません。
専門書は売り上げが取りにくく、雑貨、文具など本より粗利が高い売場を作るときに真っ先に縮小される売場の一つです。
そして、専門的な情報量が自然と縮小してしまい、本屋としての情報発信力は停滞して、客離れをするという負のスランプに陥る可能性があります。
また、何かしらの悩み、問題を解決することができるのも本屋の魅力です。
行くだけで、生きる知識、知恵を教えてくれる本屋があったら、行きたくなるものです。
イメージとしては2010年代に完成したライフスタイル型の書店を発展させて、「物語」の売場を縮小し、知識、知恵を教えてくれる売場にシフトしていくのが理想です。
これが私が考える2020年代の本屋の形です!