ぼさとの定規

元書店員ぼさとが社会のこと、書店のことなど、思ったことを書いていきたいと思います。

JR化30年で取り残されたJR北海道。近年の不祥事から始まったマイナス面を振り返ってみた。

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国鉄がJRに民営化されて4月1日で30年を迎えるそうです。
JR4社は上場することに成功しました。国鉄時代と比べるとサービスの向上や技術の革新により、新幹線や在来線特急の高速化、そして北海道から鹿児島まで新幹線がつながりました。

しかし、成功の陰で一人負けの状態の会社があります。JR北海道です。
全国的にあまり大きく報道されていないようなのですが、地元北海道ではJR北海道の経営不振は深刻な社会問題として取り上げられています。

そもそも、この問題が始まったのは2011年5月に発生した石勝線特急列車火災事故から複数の車両の整備不良による車両火災や線路のメンテナンス不足などによる脱線事故が2013年まで立て続けに発生します。
さらには社内でも国鉄時代から続いている労使関係の問題や、36労働協定違反、社員の不祥事(覚せい剤を使用して運転、ハンマーでATS装置破壊など)など内部でも問題が多発し、その当時の社長や先代の社長が自殺をするなど壮絶な状態になっていました。

根柢の原因は数々ありましたが、改善のためにまずは安全運行をできる体制を作ることに現在注力することになりました。
そこで、問題なのがあまりにも古い車両(車齢30年以上が多数を占めます)を今も厳冬期がある過酷な環境で使い続けいることです。

その古い車両を新しいものに更新する費用や今まで手抜きをしていた線路のメンテナンス費用を捻出するために赤字路線の廃止やローカル線の大幅な列車本数の削減、無人駅を多数廃止したり、稚内、網走から札幌へ向かう特急列車を旭川止まりにして、旭川から札幌行きの特急に乗り換えをする措置をとったり、さまざまなコストカットがされている最中です。

そうした取り組みなどでコストカットを行い始めてますが、鉄道車両の更新や線路のメンテナンスなどのメンテナンス費用に合わせて、慢性的な鉄道部門の赤字(なんとJR北海道すべての路線が赤字のようです)、さらには昨年8月の台風10号による主要路線の分断などアクシデントがあり、今年の決算では122億の赤字になったようです。

さらに、このままでは2020年に破たんするという試算もあり、JR北海道は利用客の少ない路線を廃止または鉄道施設を自治体に負担してもらい、列車の運行はJRが行う上下分離式(参考:上下分離方式 - Wikipedia)などを自治体や道に相談したいとの発表があり、激震が走りました。
何より、問題なのがその対象路線に網走や稚内根室、釧路など北海道の主要都市を結ぶ路線が入っていたことが一番のショックでした。

さすがに北海道庁から財政支援するという流れになりそうです。また、国でも麻生太郎が国会でJR東日本と合併するのも一つの案とその重大さに対して国が介入すべきではないかということを国会で発言したそうです。

 

確かにJR北海道の一連の不祥事や今までの経営の在り方が間違っていたことが多々あり、このような状態になっています。
しかし、北海道での鉄道の役割がすでに破たんしているというのも事実だと思います。稚内や網走に向かう路線にはすでに貨物列車の運行はありませんし、貨物輸送はほぼトラックで間に合っています。
そして、札幌へ向かう旅客輸送も高速バスと大した変わらない時間で特急が運行されており、旅客需要もそこまで太くないそうです。旅客需要がバスで十分間に合ってしまうというのも現状としてあります。

北海道は街の構造的に車社会になっており、鉄道など不便な交通機関を使うより、長距離でも自分で運転して移動したほうがマシという風潮もあるかと思います。
冬はしんどいですが、車を運転する人はホワイトアウトになるような猛吹雪でも運転してしまうのです。それも高速道路はいまだに北海道末端部までつながっていないので、地方では国道での移動です。

しかし、これだけ車社会なのにも関わらず、JRの駅前には駐車場が整備されていないところが多々あったり、バスと大した所要時間がかわらないのにもかかわらず、JRのほうが料金が高いとか、そういった鉄道利用促進する面が欠けているところもあるかと思います。

ほかにも問題点は上げればきりがありませんので、また機会があれば言及してみたいと思います。

今回もこれでお開きです。

 

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