ぼさとの定規

元書店員ぼさとが社会のこと、書店のことなど、思ったことを書いていきたいと思います。

心が冷え切っている日本人。「お・も・て・な・し」をアピールしたオリンピックスピーチはやっぱり間違っているのではないかと今更だけど思う。

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平気で人にぶつかる、ぶつかっても謝らない、人に歩幅を合わせようとしない、自分さえよければいい。

これが大都市圏でよくある光景ですよね。これで2020年の東京オリンピックは「おもてなし」という言葉を押し、世界をシラケさせました。日本では五輪誘致が決まった時の報道はほぼすべて「おもてなし」をテーマにしたから誘致が決まったかのように報道していました。
しかし、世界では「おもてなし」という言葉はフォーカスされることはなかったそうです。ただ、2020年のオリンピックが日本で開催されるということだけが報道され、スピーチの内容についてはあまり報道されなかったようです。

何故かあの当時マスコミが滝川クリステルの「お・も・て・な・し」というところを象徴的に報道しました。そしてそれが日本人だけに賞賛され、その言葉が流行語大賞まで取りました。

「おもてなし」が日本だけで自画自賛されていたことについて、一部では問題視されていましたが、好感的に思っていた人のほうが圧倒的に多くこのことについてはあまり触れられませんでした。

しかし、これだけ日本国内だけでフューチャーされた「おもてなし」という言葉の意味を本質的にわかっていないのは現代の日本人ではないのでしょうか。

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以前、上記記事でも書きましたが日本人は戦後急激に下衆な考えかたに偏っていったのではないかと私は思います。(あくまでも偏った私見です。)
「世間様」という同調圧力で社会ルールを形成して、社会に翻弄され、せかされる人生が当たり前で個人よりも集団で何かをするほうがいい(しなければならない)という厳しい目に日本人同士で監視の目を光らせて、少しでもそれにそぐわない行動をすればバッシングをするいつの間にか人を叩くことが当たり前になっています。

  • 働くのが美徳(それをうまく利用したブラック企業ができてしまった。)
  • 我慢することが美徳(うつになるまで我慢するようになった。最悪自殺するようになった。)
  • 一億総中流(不景気で格差が生まれているにも関わらず、全員が中流だと思い込んでいる。貧困問題に世間が目を向けなくなった)
  • 大量消費をすることが前提(ものを大切にする文化がなくなった。)
  • 一致団結、同一主義、同調主義、世間体(正社員になることが社会人の証だという風潮を作り、それ以外の生き方を否定している。引きこもり、ニートの増加)
  • 都市一極集中(地方の過疎による衰退、大都市圏での満員電車や超過密を作ってしまった)
  • なんでも便利になって当たり前(24時間営業やサービス過剰、クレーマーの増加) 

 上記項目が日本全体が精神疾患に…の記事でまとめた私見です。これが現代の日本の閉そく感を作ってしまっているガンであると私は思っています。

この要素の中に一体どれほど人を気遣う「おもてなし」の要素があるでしょうか。
「おもてなし」とは他人に対して心のこもった待遇をすることであり気遣いや思いやりがあって初めて成立するスピリットであるかと思います。

しかし、どうでしょう。日本どこを見てもそんな相手に思いやりを持ったり、親身になって接したりできる人が現代にどれだけいるのでしょうか。

東京をはじめとする大都市圏では人がごった返しているところでは人にぶつかるのは当たり前だし、ぶつかっても謝りもしない。歩幅が遅い人に合わすことはなく、不機嫌に追い越す。
コンビニやスーパーなどではレジを並ぶ順番を守らないのは当たり前。少しでも自分に気にくわないことがあれば店員に当たり散らし、理不尽なクレームをつける。

などなど、マスコミがよく「日本人は謙虚だ」と整列や順序を守ることを無秩序な国をやり玉に挙げて、日本はすごいともてはやします。
しかし、現実は戦前まで根強く残っていた日本の美的行動の貯金はすでに底をつき、今まで作ってきた日本のモラルはすでに崩壊してしまっているのに過去の遺産を誇っているだけではないかと、現代の日本人の身勝手さと冷え切っている心をみると思ってしまいます。

これを否定するように「戦前の日本はもっと無秩序だった」「列車での整列乗車が浸透したのは高度経済成長期からだ」などを盾に反論される方がいるかと思いますが、私が言いたいのは日本有史以来の日本人独特の謙虚さのことが言いたいのです。

現代の日本にはそうした奥ゆかしさがなくなってしまったのではないかと思います。

今更ながら「おもてなし」で押して日本はすごいって報道は事実に即していないですね。

それでは今回もこれでお開きです。

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