タイトルから
社会学っぽさがでていますね。
ふとこの本のことを思い出したので紹介したいと思います。
この本はドイツ哲学を研究している芦田宏直さんの著書であり、芦田さんが大学教授として2013年以前の過去に書いたブログ記事や校長時代の式辞、講演した際の講演録を加筆修正して集めたものになっています。教育論や哲学論、そして社会について芦田さんの視点で言及がされており、とても濃い内容の本になっています。ページ数はなんと494ページです。とても読み応えがあります。
各章は以下の通りです。
1、努力する人間になってはいけない
2、掛け算の思考 割り算の思考
3、就職活動への檄二〇箇条
4、「読書」とはなにか
5、家族は社会の基本単位ではない
6、なぜ、人を殺してはいけないのか
7、学校教育の意味とは何か
8、キャリア教育の諸問題について
9、ツイッター微分論
10、追悼・吉本隆明 引用:努力する人間になってはいけない
目次からかなり魅力的なタイトルが並んでいることがお分かりいただけるかと思います。
今回、思い出して紹介したかったのが、第一章の「努力する人間になってはいけない」です。本のタイトルにもなっている章ですが、読み始めでかなり心をガシッとつかまされるような内容にもなっています。
この章の始まりはこのようになっています。
下記の四つの人材の中でどの人材がもっとも有害な人材かという問いから始まります。
1、怠け者だけれども目標を達成する人
2、がんばり屋で目標を達成する人
3、がんばり屋で目標を達成できない人
4、怠け者で目標を達成できない人
著者の見解としては3番目の「がんばり屋で目標を達成できない人」だということが結論付けられていました。
何故かというと、「プロセスを大切」にし、目標を達成できないので上司や周りの人から相手にされませんし、こういう人に限って上長やまわりの言うことを聞かないのにもかかわらず、目標が達成できないからもっと働かなくちゃいけないと、朝は早く出勤し、夜は残業をしますが、それすら裏目に出て周りとコミュニケーションの温度差が出てしまうと述べられています。
確かに、そうですよね。プロセスばかり大切にして、人の話を聞かず、生産性は低くて、肝心の目標を達成することができないのは正直、仕事できない人ですよね、、、。
なぜ、その人は目標を達成できないのか。以下のように結論付けられています。
それは自分の仕事の仕方を変えないからです。仕事の仕方を変えて目標を達成しようとはせずに、時間をさらにかけて達成しようとする。これが努力をする人が目標を達成できない理由です。
一理ありますよね。
日本の古い体質が残っている会社ではいまだに目標が未達成の場合は時間数でカバーしろだとかいう人がいます。本来なら、目標が達成できないこと要因を分析して何が原因で目標が未達だったのか見つめなおして、目標達成に向けて仕事のやり方を見つめなおしたり、生産性向上を図ろうとします。
しかし、いまだに「努力しろ」「残業しろ」「早出しろ」と時間をかければ目標達成することができるでしょって考え方を持つ人が多いですよね。
このことを著者は2005年に校長の卒業式の言葉として生徒に伝えたようです。
もう、2005年から12年以上も経っていますが未だに日本の現状がこのような生産性を無視した努力論が曲がり通っているのが悲しくなってきます。
今回紹介したのは序盤中の序盤でしたが、このような観点で著者が様々な問題について切り込んでいったり、教育者として生徒に伝えたいことがたくさん詰まっています。
もし、興味があれば一度読んでみる価値あるかもしれません。
それでは今回もこれでお開きです。
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