ぼさとの定規

元書店員ぼさとが社会のこと、書店のことなど、思ったことを書いていきたいと思います。

【本の見せ方】書店員がやっている「棚づくり」とはいったい何なのか。→棚を整理して一冊一冊の本を見やすくしているのです。

書店には毎日膨大な量の本がお店に届きます。店員同士で手分けをして毎日それらを品出しをしています。
棚担当の書店員の大きな仕事として、「棚をつくる」という業務があります。これはただ、棚に注文した商品を陳列していくのではなく、一冊一冊の本を棚に陳列する際に、どのようにすれば棚に差さっている本を手に取ってもらうことができるかということを考えて、棚に法則性を持たせて本を並べたり、目立たせたい本を表紙を向けて展開したり(面陳列)することをいいます。工夫としては以下の項目があります。

 

  • 棚に入っている本がスカスカになっておらず、棚倒れをしていない状態を保つ
  • 本が棚から飛び出していない
  • 本が棚から取り出せないほど、ぎちぎちに入っていない
  • 同じタイトルの本は在庫を持ってても2冊までしか差さない(3冊以上同じ本が刺さっていると、目立ちます)
  • 判型(本の大きさ)がそろって棚に差してある
  • 面陳列と棚差しが同じ段の棚にない
  • 小分類が一目でわかる(理想は小分類がここから始まるとわかるようなタイトルの本だとなおいいです)
  • 棚の始まりの本はまず、優しい初心者向けの柔らかい本を置き、順を追うごとに専門的な硬めの本を置く

これらが私が今まで教わった棚の作り方のコツです。 
これを完璧に行うには毎日棚に向き合う時間が必要です。つまり、世の中にいる棚職人と呼ばれる素晴らしい書店員の方は、上記項目以上に工夫をして、棚をきれいにみせることに日々注力されているはずです。
大型書店ではより一つ一つの棚をきれいに法則性のある並べ方をして一冊の本を見つけやすくする必要があります。そのためには棚の中で本が倒れていて、本が取りにくくなっていたり、何冊も同じ本が差さっていて一つの商品を見つけにくくしている環境要因を取り払う必要があるのです。

おそらく、そういったメンテナンスが行き届いた棚は見やすいはずです。

今回は「棚を整理する」という意味で棚づくりを紹介しましたが、もちろん、整理する要素以外に、この本の隣にこの本を置いたら楽しい演出ができるんじゃないかとか、平台に仕掛けたい商品をたくさん積んでコーナーを作ったりとか、オリジナルフェアを企画して展開するとかそういった意味でも棚づくりに入ります。

一つの棚をきれいに整理できた時の達成感は書店員としてうれしい場面のひとつでもありました。まるで、パズルを完成させたときみたいなアドレナリンが放出されているはずです。

それでは、今回もこれでお開きです。

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